伊勢くんの言った通り、私たちが別れたことに誰も気づかないまま、3月になった。
もうすぐ、伊勢くんは出社しなくなる。
さみしい気持ちもあるけど、今はただ、新生活を無事に迎えられるように祈るだけだ。
今日は送別会で、みんな飲んだくれてひどい騒ぎになっていた。
「紗和、飲んでるか?」
「飲んでるよ。
っていうか、主役がここにいていいの?」
「いいんじゃん?
俺と紗和、遠距離恋愛になるってみんな思っててさ、なんかだましてるみたいでおもしろいな」
耳元で聞く伊勢くんの声は、懐かしくていとおしかった。
「もう、引っ越しの準備進んでるの?」
「だいたいな」
「何か手伝えることあったら、言ってね」
「そんな軽々しく言っていいのか?」
「伊勢くんは、紳士だから平気でしょ」
「男なんて、みんな中身はオオカミみたいなもんだぞ」
おいそこ、いつまでいちゃついてんだ!と外野から野次られ、
「紗和、また連絡するから」
伊勢くんはみんなの輪へ戻っていった。
もうすぐ、伊勢くんは出社しなくなる。
さみしい気持ちもあるけど、今はただ、新生活を無事に迎えられるように祈るだけだ。
今日は送別会で、みんな飲んだくれてひどい騒ぎになっていた。
「紗和、飲んでるか?」
「飲んでるよ。
っていうか、主役がここにいていいの?」
「いいんじゃん?
俺と紗和、遠距離恋愛になるってみんな思っててさ、なんかだましてるみたいでおもしろいな」
耳元で聞く伊勢くんの声は、懐かしくていとおしかった。
「もう、引っ越しの準備進んでるの?」
「だいたいな」
「何か手伝えることあったら、言ってね」
「そんな軽々しく言っていいのか?」
「伊勢くんは、紳士だから平気でしょ」
「男なんて、みんな中身はオオカミみたいなもんだぞ」
おいそこ、いつまでいちゃついてんだ!と外野から野次られ、
「紗和、また連絡するから」
伊勢くんはみんなの輪へ戻っていった。