それからのことは、よく覚えていない。
あとから聞いたら、私は会議室を飛び出し、
「体調不良のため、帰ります!」
と一方的に霧島課長に告げ、とても具合が悪そうに思えないほど猛スピードで走り去ったらしい。
気づくと、真っ暗な自分の部屋で座りこんでいた。
ピンポーン、とチャイムの音が響き、暗い部屋をインターホンの画面が照らした。
画面をチラッと見たら、伊勢くんだった。
わかってる。
伊勢くんは、ちっとも悪くない。
だけど、私が伊勢くんとつきあわなければ、すべてが丸くおさまる。
居留守を決めこみ、ジッと動かずに伊勢くんが立ち去るのを待った。
金曜日で良かった。
奈緒に電話して全部話したら、
『なんでもっと早く言わないのよ』
って、怒られた。
『今から行こうか?』
優しい奈緒の言葉が、嬉しかった。
「何もないけど、待ってる」
『わかった、適当に何か買っていくね』
奈緒は、有名店のケーキを持って来てくれた。
「ありがと、奈緒」
「おじゃましまーす」
あとから聞いたら、私は会議室を飛び出し、
「体調不良のため、帰ります!」
と一方的に霧島課長に告げ、とても具合が悪そうに思えないほど猛スピードで走り去ったらしい。
気づくと、真っ暗な自分の部屋で座りこんでいた。
ピンポーン、とチャイムの音が響き、暗い部屋をインターホンの画面が照らした。
画面をチラッと見たら、伊勢くんだった。
わかってる。
伊勢くんは、ちっとも悪くない。
だけど、私が伊勢くんとつきあわなければ、すべてが丸くおさまる。
居留守を決めこみ、ジッと動かずに伊勢くんが立ち去るのを待った。
金曜日で良かった。
奈緒に電話して全部話したら、
『なんでもっと早く言わないのよ』
って、怒られた。
『今から行こうか?』
優しい奈緒の言葉が、嬉しかった。
「何もないけど、待ってる」
『わかった、適当に何か買っていくね』
奈緒は、有名店のケーキを持って来てくれた。
「ありがと、奈緒」
「おじゃましまーす」