その日の午後は、あまり仕事が進まなかった。
親にも叩かれたことないのに、まさか年下女子から平手打ちをくらうとは。
「宮本、ちょっといいか?」
霧島課長から声をかけられたのは、その日の夕方だった。
課長に続いて、会議室に入った。
「だいたいのことは、一部始終を見ていた社員から聞いた」
「そうですか」
「おまえが悪くないことはわかってる。
でも、川島からしたらおもしろくないんだろ。
少し有休消化したらどうだ?」
「お気遣いありがとうございます。
私は平気ですので、休みません」
川島さんに負けたくなかった。
「心配なんだよ」
そう言う課長の顔は、真剣だった。
「仕事に戻ります」
立ち上がろうとテーブルについた私の手に、課長は自分の右手を重ねた。
あったかくて、大きい手。
私はこの手に、何度も抱かれたんだ。
意識したら、胸が苦しくなった。
「失礼します」
課長の手を離し、会議室を出た。
背中に感じる、課長の視線が痛かった。
親にも叩かれたことないのに、まさか年下女子から平手打ちをくらうとは。
「宮本、ちょっといいか?」
霧島課長から声をかけられたのは、その日の夕方だった。
課長に続いて、会議室に入った。
「だいたいのことは、一部始終を見ていた社員から聞いた」
「そうですか」
「おまえが悪くないことはわかってる。
でも、川島からしたらおもしろくないんだろ。
少し有休消化したらどうだ?」
「お気遣いありがとうございます。
私は平気ですので、休みません」
川島さんに負けたくなかった。
「心配なんだよ」
そう言う課長の顔は、真剣だった。
「仕事に戻ります」
立ち上がろうとテーブルについた私の手に、課長は自分の右手を重ねた。
あったかくて、大きい手。
私はこの手に、何度も抱かれたんだ。
意識したら、胸が苦しくなった。
「失礼します」
課長の手を離し、会議室を出た。
背中に感じる、課長の視線が痛かった。


