細くて暗い近道に入る

マフラーに顔は埋めたままで、手袋もしてないからアウターのポケットに手を入れて暗い道をゆっくりと歩いてると

ガタッ

突然の物音に体が自然と反応する

音のした方に顔を向けると

あたしが通る細い道から左に曲がった道に誰かが倒れていた。

ちょこっと近づくと

男…だろうか

真っ黒の服にフードを被った人がいた。

「あ、あのー。」

見て見ぬふりもできないから1メートルくらい離れた場所から声をかけてみた。

『いってー。』

男は顔を上げ、あたしを5秒ほど見つめると

『あ、見つけた』

会ったことも話したこともないこの男が
あたしに向かって 見つけた と言葉を発した。

怖い

今更ながらに恐怖を感じた

逃げよう

逃げなきゃ