スーツを着て、髪もセットしている彼は、いつもよりも大人びて見える。

隣には私と同じくらいの年齢の男性と女性がついている。
何やら活発な議論でも繰り広げているかのような雰囲気。

わ、こっちに来る…。

思わず柱の影に隠れた。

隠れる必要なんてないのに、私ってば…。

3人の声がだんだんと近づいてくる。
その中のひとつはとても聞き慣れたもの。
だけど、その口調はいつもと違ってとても真剣。

「わかりました。先方には俺から電話を入れておきます。

こっちの件ですが、この商品を納期に間に合わせる為には、この工場から直接輸送してください。輸送先の担当者に連絡を入れておいてください」

「わかりました」

すごい…。
隙のない働きっぷり。
学生とは思えないほど的確な指示。