「いつも待たせちゃってごめんね」
毎回彼を待たせてしまっているから、なんだか申し訳なくなって謝罪の言葉を口にする。
「俺は遥を待たせたくないだけだから気にすんな」
「そ、それでも悪いよ……!」
「本当に悪いと思ってるなら、遥から俺にキスしてみ」
「……っ!?」
き、キス!?
き、キスって……そんなの私からなんか絶対に───
「む、無理だよ……!」
「無理、ね?俺、結構期待したのにな」
いたずらっぽく笑う彼。
絶対からかっている……!
でも彼の言葉に顔が熱くなるのがわかった。
「ほ、ほら行こう?」
私は見上げるようにして彼を見る。
恥ずかしすぎて涙目になっているであろう、ぶさいくな顔で。
「……っ、ほんと、可愛すぎ。
遥は俺を殺す気?」
すると彼は私から視線を外してしまう。
こ、殺す?
私が大輝くんを殺すって……!?
「そんなことしないよ!」
「本当に、遥はバカだよな。どう考えても可愛すぎて死にそうって意味だろ」
私が、可愛い……?
いやいや、そんなわけない。
「で、でも私もそう言う時あるよ……!
大輝くんがかっこよすぎて私、死ぬんじゃないかってくらい心臓がうるさくなったり…」
…って待って、私今すっごく恥ずかしいこと言わなかった!?
また顔が熱くなる。
「遥、天然もほどほどにしろよ。
男に目つけられるから」
そう話す大輝くんの顔も、少し赤い気がした。



