静かな空気が流れる中。
大輝くんの顔がゆっくりと近づいてきた。
彼の手が、私の頬に触れた。
………キス、される。
そう思い、私は目を閉じた。
今ここには2人しかいないんじゃないかと勘違いするほど、静かで水槽からこぼれる光が私たちを照らしている。
あと数センチ。
その時………
「次はあっち行こうぜ!」
「そうだな!おれ、大きい魚が見たい!」
「ーーーーっ!!」
少し近くで子供たちの大きな声が聞こえてきて、私ははっと我に返り大輝くんから離れた。
そして心臓がバクバクと暴れだす。
私、今キスを期待して待ってた……!?
ここは2人きりじゃないのに……!
いつもなら人前では恥ずかしくてできないのに、今はまるで大輝くんと2人の空間にいたように感じられて普通に受け入れようとしていた。
「あーあ。タイミング悪すぎ。」
なんて言いながら、ニヤリと悪い笑みで私を見た大輝くん。
「お!ここ、大きい魚がいるぞ!」
「………。」
そして2人の男の子が私たちの近くに来て、そのうちの1人の男の子がじっと私の顔を見た。
「見ろよこれ!…………ん?どうしたんだ?」
「………何でお姉ちゃん、そんなに顔が真っ赤なの?」
………子供は正直だから、私の顔は今相当赤いのだろう。
「本当だ!大丈夫?」
「…………うん、大丈夫だよ。」
平静を装ってるつもりでもやっぱり恥ずかしくて………
「大輝くん、ちょっとお手洗い行かせてもらいます!」
と言って逃げるようにトイレへと向かった。



