「…………。」
「…………。」
木下くんの家を出てからどれくらい経っただろうか。
手は繋がれてるけど、数歩先を歩く彼はずっと黙ったまま。
怒ってるのかな……。
少し不安になり、私から話しかけることにした。
「あの、大輝くん……」
「なんで遥には警戒心がないんだよ。」
私と大輝くんはほぼ同時に喋りだす。
数歩先を歩く彼が突然横に来た。
「ご、ごめんなさい……。」
彼の様子を見る限り、怒っているわけではなさそうだった。
良かった……。
「何落ち込んでんだ?」
安心していたら、大輝くんが私を見てそう言った。
ニヤリと笑う彼を見て、私はようやく気づいた。
「何?俺が怒ってるとでも思った?」
「………っ、そんな、わざとだったの……?」
「まぁ確かに遥が鈍すぎて怒ってるけど、そこまで怒ってないよ。」
大輝くんの口調は優しかったから、本当に怒ってなかったんだと思った。
「良かった…。怒らせちゃったのかなって、不安だったから……。」
「俺は落ち込んだりする遥をあんま見たくねぇから怒らないに決まってるだろ。……まぁでも、あんまり木下と仲良くしてると怒るかもな?」
悪い笑みを浮かべる大輝くん。
多分本気だ。



