「す、すみません……!見とれてました……。あの、かっこいいですね……。」
その人はメニューをとりにきた人と同じだったのだが、すごい……
グイグイ木下くんに食いついている。
「そんなことないですよ。
でも、ありがとうございます。」
また笑顔で話す木下くんは絶対にわかってやっているな。
ほら、この人顔真っ赤だよ。
「もうすぐバイト終わるんで写真撮ってもらえませんか……!?」
「あー、ごめんね。それは無理かな。
こう見えて彼女一筋だから。」
そう言って木下くんは私の方を見る。
「そう、ですよね……。すいません変なこと言っちゃって。」
なんて平気そうに言う店員だけど、一瞬私の方を見てギロリと睨まれた。
こ、怖い………。
そしたら木下くんがまた話し出す。
「それに俺、人によって態度変える人って嫌いなんだよね。」
これまた笑顔で言う木下くんだけれど目は笑っておらず逆に怖かった。
「あ………う…………す、すいません失礼します!」
そんな木下くんに怖くなったのか、店員はそそくさと去っていった。
「河野さん、大丈夫……?」
「あ、うん。大丈夫だよ、ありがとう。」
木下くんも私が睨まれてると気づいていたようだ。だから助けてくれたんだ。