そして私は………
気づけば体が勝手に動いていて、木下くんの元へと走っていた。
「木下くん……!もう、いいから……!
私のことはいいから、離してあげて……?」
いつもと違う怖い雰囲気をまとう彼に、少し怖がりながら止めに入る。
すると木下くんははっと我に返ったような顔になり、乃亜ちゃんから手を離した。
「悪い、乃亜……。
いくらなんでもやりすぎた。」
そしてすぐに謝る木下くん。
多分判断力を欠いてしまっていたのだろう。
「な、なんで………なんでこの女じゃないとダメなの………!?」
乃亜ちゃんは目にいっぱい涙をため、大きな涙をこぼした。
「私じゃダメなの……!?
ねぇ、何か言ってよ………!!」
「………乃亜………ごめんな……。」
「それ以上優しくしないで!それならいっそ、さっきみたいに怒って嫌われた方がいい………!!」
涙を流す乃亜ちゃんは本気で木下くんのことが好きで……だけど手に入らなくて苦しんでいる。



