冷たい彼は私に溺愛




それから階段を上り、2年のクラスがある階へと着く。


すると廊下に人が集まっていた。


なんだろう……?
疑問に思っていたら………


「お前、自分が何したかまだわかってねぇのかよ!?」


という怒鳴り声が聞こえてきた。


これは明らかに………木下くんの声だった。
こんなに怒っているところ、見たことない。


近づいてみると、木下くんと向かい合っている乃亜ちゃんと、乃亜ちゃんと一緒にいた2人がの姿が。


「なによ……!自業自得に決まってるわ。
あの女が悪いのよ……!」


「…………お前それまじで言ってんの?」


木下くんは怒鳴るのをやめて、今度は冷静になり静かに怒りを放っていた。


それが逆に怖くて、さすがの乃亜ちゃんも少し怖がっていた。


「爽はみんなの爽なの!
独り占めしようとする女なんか、消えればいい……!」


乃亜ちゃんはもう投げやりになっていた。


「なんでそうなるんだよ。
お前だって知ってるだろ?俺が勝手に好きになってるってことぐらい。


なのになんで俺じゃなくてあの子にあんなことするんだよ。」


「それは爽が好きに決まってるからじゃん!
それにあの女だって男いるくせに平気で爽と仲がいいからムカつくのよ……!


だから後悔してない!!
もっと痛い目合わせてあげればよかった!!
どうせなら他の男に………キャッ!」


それは一瞬だった。


木下くんが乃亜ちゃんの胸ぐらを掴んで軽く持ち上げたのは。


「それ以上言ってみろ。
いくら女だからって俺も何するかわかんねぇから。」


「や、やめてあげて……!私らが悪かったから……!」
「直接謝るから……乃亜を離してあげて……!」


後ろの2人が乃亜ちゃんを助けてと言うけれど、木下くんは聞かなかった。


「影でふざけたことしてんじゃねぇ。」


爽やかで有名な人気者の木下くんを学校で知らない人はいない。


だからそんな彼が今、怒って女の子の胸ぐらを掴んでいる。


その光景に誰もが言葉を失って呆然としていた。