ーー「遥、今日は一段と遅いな。」
「………っ。」
やっぱり先にいる大輝くんを見て、泣きそうになるのを必死にこらえる。
「昨日はごめんな。」
「ううん、大丈夫……!疲れてない?」
「今こうして遥と会えるだけで元気になった。」
ふっと笑う大輝くんを見ると、胸が痛む。
その声を聞くことも、その笑顔を見ることも。
私の隣にいることも、なくなってしまうなんて………
耐えられる気がしない。
だけどそうしてしまったのは私なんだ。
「大輝くん……!」
「ん?どうした?」
震える声を抑えて、いつも通りを意識して大輝くんに
「今日の放課後、少し時間をくれないかなぁ……?」
と言った。
「あぁ……最近仕事の手伝いばっかで遥と全然いれなかったよな。
ごめんな、でももう昨日で落ち着いたから………これからは色々なところに行こうな。
今日もどっか行くか?」
大輝くんはいつも私のことを1番に考えてくれる。
それが逆に苦しくて………
ごめんなさい大輝くん。
私、最低なことをしてしまった。
だからもう、私のことなんか忘れてください………。
多分これが最後の大輝くんとの登校になるだろう。
そして帰りにちゃんと話すんだ。
…………だけどそんな考えは甘かった。
いつも思い通りに行くほど、世の中はうまくいかない。



