冷たい彼は私に溺愛




「河野さんが帰りたい時でいいからね。
いつでも待つよ。」


「………ありがとう。」


本当は木下くんを待たせるのは悪いと思う。


でも今すぐに家に帰るのは気が引けた。


このまますぐに家に帰ってしまうと、大輝くんに会いたいと言ってしまいそうで怖かった。


明日、絶対に別れを言わなきゃいけないのに。


帰りに少し時間をもらおう。
なんだか今も体が重くてだるい。


そして頭の中で乃亜ちゃんの言葉が繰り返される。


『爽からキスしたとしてもそういう雰囲気を作ったのはあんたなんだからあんたが悪いわ!』


私を責める彼女からは、私が憎いという目で見ていた。


それだけ木下くんに対して必死なんだ。


私も乃亜ちゃんのようになりたいとは思わないけれど、私には足りない何かが彼女にはあるような気がした。