「馬鹿だよねぇ遥ちゃんって。
こーんなバレバレな嘘にまんまと騙されるなんて………あ、それともわざと?
純粋アピールでもしたかったの?」
「そ、そんなわけないよ……!」
悪そうな笑みを浮かべる乃亜ちゃんを、私は見たことがなかった。
「じゃあただの馬鹿か。
馬鹿なくせに堂々と浮気して、あんた人として最低ね。」
「え……?」
う、わき………?
「しらばっくれんじゃないわよ!」
私の理解していない表情に腹が立ったのだろう。
私は思いっきり乃亜ちゃんに突き飛ばされ、尻餅をついた。
床は氷のように冷たく、すぐに立ち上がりたかったけど強く打って立てない。
すると乃亜ちゃんが迫ってきたかと思えば、スマホを取り出して画面を私に見せてきた。
「………っ!なんで……」
画面に映っていたのは…………図書室で、木下くんにキスをされている時の写真だった。
でもその写真だけを見たら、私と木下くんがキスをしている浮気写真にしか見えないだろう。
「2人きりで図書室で掃除?
コソコソそんなことやってたんだね、あんた最低よ!」
まさか、他に人がいたなんて………。
しかも写真も撮られている。
「ち、違う……!」
「爽からキスしたとしてもそういう雰囲気を作ったのはあんたなんだからあんたが悪いわ!」
乃亜ちゃんは怒りをあらわにしていた。
その様子だと、結構序盤からいたのだろうか……。
だったら余計に浮気ではないとわかっているはずなのに………。



