冷たい彼は私に溺愛




「えっと……」


正直に言うか悩んだ末、とりあえず今は嘘をついた。


「いい感じだと、思う……。」
「そっかぁ……。良かった。」


………良かった…?


どういう意味だろう。
乃亜ちゃんの表情から感情は読めない。


その後に沈黙が流れたまま、体育館倉庫に着いた。


中は外よりもさらに冷えていてその場にいるだけで震えてしまう。


「この日に掃除しろって、私のクラスの担任は鬼だな。しかも何で乃亜ちゃんにも任せるかなぁ。」
「そうだよね。まあ仕方ないよ。」


乃亜ちゃんは心が広いのだろう。
先生に任された仕事に文句を言わないのだから。


「何から始める?」


少し奥に入って辺りを見回すけれど、これといって汚いところはない。


「………。」
「乃亜ちゃん……?」


私の質問に返事がなかった乃亜ちゃんを不思議に思い、振り向いた。


そしたら乃亜ちゃんが口を開く。


「………ねぇ遥ちゃん。
あなたって爽とどういう関係なの?」


「え……?木下くん……?
どうして急に……」


「いいから答えて。友達?同級生?」
「そんなの……友達に決まってるよ…。」


明らかにさっきまでと態度が違う乃亜ちゃんに困惑した。