そっと2人の様子を見る。


なんとこれまた奇跡的に私のカバンはドアのすぐ近くに置いてあり、逆に木下くんと先生はドアと真逆の窓際にいた。


これは……なんとか逃げられる!


そう思った私は足音を立てずにゆっくりとドアに近づく。


2人とも私には気づいていない。


鞄を取るときは音がなるだろうと思い、最後は急いで逃げるように鞄を取り図書室を出た私は走って下駄箱へと向かう。



「………今、すごい音しなかったか?」
「……………多分、気のせいだと思いますよ。」


「そうか?
まぁ、そんなことより………木下、お前河野がいない間に女に告白されてふっただろ?」


「……………なんのことですか?」
「しらばっくれても無駄だぞ。さっき俺が廊下を歩いていたら図書室から女が俯きながら出てきたんだからな。」


「……………それ、誰かわかります?」
「いや、俺の担当クラスじゃないことぐらいしかわからないな。」


………もしこの会話を聞いていたら、あんなことにはならなかったかもしれない。


だけど頭の回転が悪い私のことだから、事前に防ぐことなんてできなかっただろう…………。