そう心で願った時。
「あれ、図書室のドアが………開いてる………?あいつらまだ掃除してるのか?」
と言う担任の先生の声が遠くで聞こえてきた。
これは不幸か、それとも不幸中の幸いか。
とりあえず急いで離れないと、この状況を見られたら終わりだ。
それに同じ本棚から出てきても怪しまれるだろうから出来るだけ遠くに………
「………んん……」
だめだ。
息が苦しくて頭がうまく回らない………。
そしてようやく木下くんが唇を離し、解放される。
「………はぁっ……はぁっ………」
息が荒れ、木下くんから顔を背けようとした時に……
担任の先生が図書室に入ってきた。
荒れる息を必死で抑え、息を殺す。
「2人ともまだ掃除してるのか……って、いない?」
担任の先生の足音がだんだんと大きくなる。
「鞄はあるから………いるはずなんだが……」
すると木下くんがまた顔を近づけてきて私の耳元でそっと囁いた。
「バレたくなかったらじっとしてて。」
そう言うと、本棚にあった本を適当に何冊かとって歩いて行った木下くん。



