「なん……で………?」


頭が追いつかない。


今、私は大輝くんじゃない男の人に………キス、された………?


「俺ってこういう最低な人間なの。
河野さんの気持ちを考えない、最悪なやつだよ。」


自嘲気味に笑う木下くんの声はどこか冷たくて。


「どうやっても手に入らないならこのまま壊してやりたい。」


「な……何言ってるの……?」


何が手に入らないの?
壊すって、何を?


「避けてきたのに河野さんは自分から飛び込んできたんだよ。」


私が飛び込んできた……?


「どういう………んっ………」


聞き返す前に唇を塞がれる。
さっきよりもきつく……。


今は状況が飲み込めてるから必死で抵抗した。


だけどびくともしない彼。
何をしても同じで、逃げられない。


中々離してくれなくて、息が苦しくなる。


なんで、こんなことするの……?
こうなったのは私のせい……?


目頭が熱くなり、ぎゅっと目を閉じる。


そして頭に浮かんだのは、『バーカ』と言って笑う大輝くんの姿。


助けて……大輝くん…………。