この状況をどう抜け出そうか考えていたら、突然木下くんが重ねていた手を離した。
少しだけ距離が開いたように感じ、それ以上何もされないのだと思い安心する私。
…………そう、私はまだ油断していた。
木下くんを甘く見ていたのかもしれない。
私は木下くんから離れようと、振り向いた瞬間………
彼がまた近づいてきて、唇を重ねられた。
そのことに理解できなくて固まる私。
何が………起きて……?
重ねられた唇が離れたあと、至近距離に木下くんがいた。
「俺、全然いいやつじゃないから。
優しかったとしても男なのに変わりないからね。」
そう言う木下くんは見たことがない表情をしていて。
少し怖いと感じてしまう瞳が私を捉えていた。



