そしてしばらく経ち、ようやく掃除が終わった。
「よしっ!これで完璧だね。」
思った以上に時間がかかり、終わった後のやりきった感がすごい。
「そうだな。じゃあほうき直してくるよ。」
「………いいの?ありがとう。」
私は木下くんにほうきを渡し、木下くんは「いいえ。」と笑顔で言って図書室の奥にある道具入れに向かった。
「…………あ、ここ知ってる作家さんの本がいっぱいある……。」
本当は掃除が終わったらすぐ帰る予定だったけど、図書室にある本が充実していて思わず見てしまった。
久しぶりに何か借りて本を読もうかなぁ。
ゆっくり歩きながら見ていると、映画化されたことのある本を見つけた。
映画は観たことあるけど、原作は読んだことないな。
確かこの映画すごく感動したんだよね。
そう思うと読みたくなり、本に手を伸ばしたんだけど………
「と、届かない……!」
思った以上に高い本棚で、上の方にその本があるから私の身長では届かない。
頑張って手を伸ばすけどあと少しだけ足りない。
仕方ない、と取ることを諦め近くにある台を使おうと思ったその時。
急に後ろから手が伸びてきて、私が取りたかった本にその手が触れた。
「この本が読みたいの?」
後ろに気配が感じ、木下くんだとすぐにわかる。



