「うわぁ、図書室っていっぱい本があるんだ……。」


ほうきで床を掃きながら、近くの本棚を眺める。


そこには多くの本がズラリと並んでいた。


「河野さん、図書室に来たことないの?」


少し離れたところで木下くんが私にそう言った。


私の独り言が聞こえてたってことだよね………そう思うと恥ずかしい。


「来た覚えはない、かなぁ。」
「今時利用してる人の方が珍しいよね。」


木下くんはいつものように笑っていて、さっきの複雑な表情はすでに消えていた。


「ここ最近では特に図書室を利用してる人が少ないのよ。」


途中に先生も話に参加し、3人で話しながら掃除をしていたから正直楽しくできた。


でも少しして先生は


「もうこんな時間……ごめんなさい、私はここで失礼するわね。掃除が終わったら鍵を閉めて職員室に返しといてもらえる?」


と言い、私と木下くんを交互に見た。