「用事、ですか……?」


先生が何故今それを聞くのか私にはわからなかった。


帰るだけなのに、なんで用事か?って聞くんだろう。


不思議に思っていると
「その様子じゃ、木下に何も言われてないのか?」と先生に言われた。


木下くん?


今木下くんって言ったよね?


「木下くんがどうかしたんですか?」


「さっき木下に図書室の掃除を頼んで、河野と2人でよろしく頼むって言ったんだけど、あいつ1人でやるつもりなのか……?」


やっと先生が用事があるのか、と聞いてきた理由がわかった。


それにしても先生、木下くんに仕事押し付けすぎだよ……!


「河野に手伝ってもらうのは悪いからって思ってるんだろうな。
でもあの量1人でなんてきついぞ?」


………いや、もともとさっきの先生の言葉聞いて行くつもりだったけど………


そんな遠回しにお前も手伝えっていう感じの言い方に少しだけムッとする私。


それなら「お前も手伝ってやってくれ。」って言われた方が何倍もマシだ。


だけど私は一刻も早く木下くんのところに行って手伝わないと!という気持ちの方が強かったから、


「私も手伝ってきます!さようなら!」とだけ言って図書室へと走った……。