「な、なんだよ……彼氏持ちなら先に言えよな!」


そう言うと木下くんの手を払いのけ、そそくさと逃げるように去っていく男の人たち。


その後姿が小さくなり、やがて見えなくなると木下くんから


「大丈夫?」と心配そうに聞いてきてくれた。


その表情にさっきの怖さはない。


「あっ、うん……!ありがとう、助けてくれて。」


私は笑顔で返すと、木下くんは安心したような顔をした。


「本当に良かった。たまたま今日ここにいて……」


「ごめんね、心配かけて……。
木下くんは1人で来たの?」


「いや、友達と来てるけどどっかで待ってもらってる。」


「そうなの?
邪魔しちゃってごめんね。」


私がそう言うと木下くんは笑った。


「謝りすぎ。気にしなくていいよ!
けど……またさっきの奴らに絡まれるかもしれないから、家まで送らせてくれないかな?」


「えっ……?」


それはさすがに悪い。
だって友達と来てるんだし……


そう思い断ろうとしたら


「友達のことなら気にしなくていいよ。数人で来てるから俺がいなくても気にならないし、どうせこの後友達の家で泊まる予定だし……」


と言われ、私の言葉を制される。
多分断られると思ったのだろう。


そこまで言われ、みんなを惹きつける爽やかな笑みを見せられると………


「じゃあ、お言葉に甘えて……。」


はい、やっぱり断れませんよね……。