ーー「遥!」
「何ー?どうしたの?」
……大晦日はバタバタしていて、私は部屋の掃除をしていた。
するとお母さんが私の部屋に勢いよく入ってきた。
「おせち頼んだんだけど、取りに行って欲しいの!お母さんとお父さん、忙しくて手が離せないからお願いしていい?」
私はもうすぐで部屋の掃除も終わるところだったから「いいよー。」と返す。
少しして掃除を終わらせた後、私はおせちを取りに少し家から遠いショッピングモールへと向かった。
ショッピングモールには人が多くて混雑していたからおせちをもらうのに時間がかかった。
そして、あとは帰るだけとなった時。
突然知らない人に話しかけられた私。
「ねぇ君、今帰り?」
「それ重そうだから持ってあげるよ。」
目の前に現れた、いかにもチャラそうな男2人に話しかけられる。
頭が真っ白になる私をスルーして、1人の男の人がひょいと私が持っていたおせちの入った袋をとる。
「あっ……!大丈夫です!」
一瞬、盗む気かと思って取り返そうとしたら
「俺たちが持っててあげるよ。」
「だから今からどっか行かない?今年最後の日だし、最高の思い出作ろうぜ。」
と言って1人の男の人が私の腕を掴んだ。
不気味に笑う2人を見て怖くなり、逃げようとしたけど腕をきつく掴まれてほどけない。
運悪く、そこはあまり人が少ない場所で、その上通る人たちは見て見ぬ振りをして素通りされる。
「いいじゃんいいじゃん。」
「ほら、行こうぜ!」
乗り気の2人に引っ張られ、諦めてついていこうとしたら………
「俺の彼女に触らないでくれる?」
急に後ろから声が聞こえたかと思えば、私の腕を掴んでいた手が離された。
私の横に誰かがきていて、見るとそこには………
「木下くん!」
少し怖い笑顔をしていた木下くんがいた。
木下くんはニッコリと笑いながら、私の腕を掴んでいた人の手首をぎゅっと握っている。
その人は「痛っ!」と言いながら顔をしかめていた。