「河野と木下、ちょっときてくれ。」
朝のホームルームが終わった後、先生に呼ばれた。
私は木下くんと廊下に出るなり、先生に
「放課後、2人に頼みたい仕事があるんだが、いいか?」と言われる。
多分、この2人に1番頼みやすいのだろう。
「大丈夫ですよ。」
私が答える前に木下くんが答えた。
だから私も木下くんの後に続いて「大丈夫です。」と返した。
先生は「悪いな、ありがとう。」と言って満足そうに笑う。
絶対に悪いって思ってないだろうな、なんて考えていたら木下くんが
「頑張ろう。」って言って笑いかけてくれ、本当に頑張れる気がしてきたから不思議だ。
だからまさか、この日の放課後に歯車が狂い始めるなんて、この時の私は思いもしなかったんだ………。