スマートに支払いまで済ませてくれた須藤さんはお店を出るとすぐに、
「悪いけど名前、聞いていい?」
と少し申し訳なさそうに尋ねた。
そうか、知らないよね。
「望月です」
「それは知ってる。下は?」
あ、知ってるんだ。
「香子、です」
「俺は、」
「あ、知ってます!」
「そうだな。俺の手続きしてくれたんだから知ってて当然か」
本当は社内で噂の王子様だから知ってる、なんて言えない。
そうです!と慌てて頷きつつ、お友達が待っているというお店への道を急ぐ。
「歳は?」
「27です」
「あ、2つしか変わらないのか。じゃあ、同い年みたいなもんだろ?」
確かに大人になってからの2歳の差はあまり大きくないけど…。
同い年みたいなものなのかは疑問だ。
もしかして、アメリカではそうなのかな。