「じゃあそのネクタイはなに?」


「これは、その……無理矢理先輩がっ」


「朝、ミア先輩のファンが、ミア先輩のネクタイが女性用に変わってることに大騒ぎして保健室に運ばれて行ったって聞いたけど。」


「なに、それ」


どんだけ熱狂的なファンがいるんだ、ミア先輩。



「詩のネクタイが違ってるってことは、そういうことなんでしょ?
 先輩とネクタイ交換したんでしょ。
 ここの学校、カップルがネクタイ交換するとその2人は永遠に結ばれるっていうジンクスがあるもんね」


目を輝かせながら、お祈りポーズをするまい実ちゃん。


私もその話を信じてはいたし、夢見てたけど。
今じゃあただの悪夢だよ。


恋人でもないのにネクタイ交換なんて。


絶対ミア先輩ファンに目つけられるじゃん私……。



先輩が現れてから、私の学校生活は荒れに荒れまくってる。


噂をすれば、教室の引き戸から顔を出し
怖い顔してこっちを睨んでいる女の人達がいた。



早速穏やかではなくなったこの状況に、漏れるため息は憂鬱でしかなかった。