ミア先輩は器用な指で、私のネクタイを自分のモノみたいに扱って。

その首元で、キュッと締め、身につけた。



「憧れてたんでしょ、ネクタイ交換」



押し倒したのはミア先輩のくせに
私の手首を引っ張って、起き上がらせた時のミア先輩の意地悪な顔といったら。


その意地悪さも、なんだか癖になってしまいそうだ。


「いや……私は恋人とネクタイ交換がしたいわけであって……」


「俺のネクタイを男避けに使ってるんだから、天沢ちゃんに彼氏ができるわけないじゃん。」


「ええー!?やだ、ミア先輩のネクタイなんかいらない!」


自分のモノじゃない、ミア先輩のネクタイは黒色のくせに、赤い糸みたいで。

首元に、無理矢理繋がれ絡まった赤い糸は、私の自由を奪ってる。


緩めようとすると、その手を掴まれ、汗がタラリと頬を伝う。



「そのネクタイ、外したら。
 こんどは本気で襲うよ、天沢ちゃん」