ーーシュルッとミア先輩の手によって緩められたネクタイ。


こんどは手加減なしだ。簡単にはずされた。




「なるほどね、これが嫉妬か。」


「せんぱっ」


「黙って」



やばいと思った。

だってこの状況でネクタイを外されるなんて。
やることはただ一つしかない。



しかもミア先輩は、自分のネクタイまで外し始めるし。


制服の隙間から見えた先輩の鎖骨に、思わずごくりと唾を飲む。



ドキドキと心臓が痛いのに。
ミア先輩の色気に見とれて抵抗できないのは……どうしてだろう。


「天沢ちゃん」


「……いっ!?」


私の首筋に顔を埋めてきたミア先輩が、ガブッと吸血鬼みたいに肌を噛み。


首筋には、ミア先輩の歯形がくっきりとついている。



「なん……で、こういうことするの……?」


泣きそうな声で聞いてみると、ミア先輩は妖しく笑う。



「俺をこんな風にさせた、天沢ちゃんがいけないんじゃん。」


「……」


「嫉妬なんか生まれて初めてしたよ。
 人なんか好きになったことがないこの俺を」


「……」


「ここまで狂わせた天沢ちゃんが全部悪いんだから……責任とれよ。」