正直ミア先輩から別れを告げて終わった関係だと思っていたから。


優愛さんの言葉に驚きを隠せない。



それじゃあ先輩の、優愛さん対する
あの冷たい態度はなに……?


もしかして先輩。


優愛さんのこと、すっごく好きで
だから見るのも辛くて、あんな冷たい態度とるの……?




好きすぎて

一刻も早く忘れたくて


冷たい態度で突き放してる。


そんなのよくあることじゃん。




「私と付き合ってる時の美秋ってね。
 なんにも包み隠そうとしなかったから」


「……」


「正直、詩ちゃんとの関係。周りに隠してる美秋見て驚いたの」


「……っ」


「だって恋人なのに、周りに隠そうとするなんておかしいじゃん」


「それは私が先輩に言ったからで……」


「ほんとうに?」



首を傾げ聞いてくる優愛さんの、髪が少しだけ揺れる。


九月なのに、まだ(せみ)の鳴き声が聞こえる窓の外から、太陽の光が差し込み。


テーブルを熱くさせていた。




「……どういう意味ですか」


「詩ちゃんが彼女ってこと。
 隠したがってるのは、美秋の方なんじゃないかな……?
 だって2人、正直釣り合ってないし」


「……」


「美秋、変なところあるから。
 妹とかそういう家族愛的な"好き"を、恋愛としての"好き"と、勘違いしてるんじゃないかな?」