「へへっ、先輩に彼女がいたこと。特別に許してあげるね」


「……なんで急に上からなの」


「だって、素直に嫉妬できるのが彼女の特権だし?」


私がそう言うと、先輩は太陽の眩しさに目を細めながら、口角をあげる。


「それで許せちゃう天沢ちゃんって、意外と簡単だよね」


「どうして?」


「だってもし、天沢ちゃんに彼氏なんかいたら。
 俺は嫉妬どころじゃ済まされないよ。」


「……」


「監禁くらいは普通にするかも」


「……」


「なんつって」



海水に足をつけた瞬間、身震いしたのは先輩の言葉にドン引きしたせいかな。



「犯罪だけは……やめてくださいね」


「天沢次第かな~」



軽く言ってるけど、その笑ってない目は本気に違いない。


今日1日でミア先輩のことをよく知れた。


知れた分、知らなくてもよかったものまで知ってしまって。


甘い思い出になるはずが
私の中ではゾッとする話になってしまったことは

先輩には内緒だよ。


言ったらきっと……怒られちゃうからね。