「天沢さぁ……ほんと俺を怒らせるの上手だよね」
やっと離れたミア先輩の唇。
だけどその唇から放たれる言葉は、さっきのキスと一緒で、全然優しくなんかない。
俯いたまま、黙りをきめていると。
「顔あげな」と、先輩の低い声に合わせて。
逃げていた目線が、先輩に捕らわれる。
「なんで俺が怒ってるか、わかってるよね?」
「……」
「喋んないなら、こっちだって好きにやらせてもらうけど。」
ーースルッと、先輩の指がワンピース水着の肩の部分を、下ろそうとしてくる。
反射的にその部分を手で押さえると、先輩の脱がす力は強くて。
二の腕まで下ろされてしまう。
「や、めてください」
皆が見ている前で、こんなのってひどいよ。
震えた声で言う。
だけど先輩の頭上はクエスチョンマークだらけだ。
「なんで?」
「なんでって……」
「天沢ちゃん、俺に『私なんてどうなったっていい』って。そう言ったよね?」
「……」
「どうなってもいいなら、俺がどうにかしてあげるよ。
教えてあげる。男の力がどれほど強いか。
体で教えなきゃ、バカな天沢ちゃんは分からないみたいだし……ね?」
「ーーっ」


