「俺の許可なく、天沢ちゃんに触んないでくれる?」
ヒーローは遅れてやってくるとは、まさにこの事。
ミア先輩は男のサングラスを後ろからヒョイッと取り。
砂浜に投げ捨てると、バキッと踏んづけ壊した。
小さな目があらわになった男は、「なにすんだ!」とキレて後ろを振り返り、私から離れるけど。
さすが先輩。
一瞬の間だって与えてくれない。
男が振り返った瞬間に、軽く足を掛け。
ミア先輩の足に引っ掛かった男は、バランスを崩し砂の上に倒れる。
その隙に私の手を取り、「大丈夫?」の一言もなく。
なぜか首筋に顔を埋めてくるから
いきなりすぎて照れる反応が遅れてしまった。
「せっ、」
「昨日、ここ。軽く噛んだのに、跡消えちゃってるね」
ふにっと首筋に唇を押し付けられ、皆が見ている前で抵抗できないのは。
相手がミア先輩だからに違いないよ。
「甘噛みじゃダメだったか……」
「先輩、離れてください……」
「なんで?」
「なんでって……海だし、人前だし?」
「俺のなのに。
触らせる天沢がイケないじゃん?」
「だっ……だって!」


