実際顔がいいのは本当のことだし。


先輩の冗談って、どこまでが冗談なのかよく分かんないから言い返せないまま、歩く。


砂浜に足をつけ、濡れた体のまま荷物が置いてある、先輩がさっき立てた青いパラソルの中に入る。



広げてあるレジャーシートの上に腰を下ろすと。



「ほら、天沢ちゃん」と、ミア先輩がタオルを差し出すから、それを受け取り身を包んだ。



「先輩、私のカバン。取ってください」


「ほら」


「ありがどうございます!」



受け取ったカバンが、やけに軽く感じる。


嫌な予感がした。


慌ててカバンのなかを見ると、お弁当箱が入ってなくて、家に忘れてしまったことに、今この場で気がついてしまった私は。


どうしようもないバカだ……。


「どうしたの、天沢ちゃん」


焦っている私の異変に気づいたミア先輩が、頭にタオルを被せながら顔を覗き込んできた。