声が震える。


お母さんと朝早くから作ったお弁当。


そりゃあ、お母さんや海の家みたいに見た目も味だって完璧って訳じゃないけど……。


少しでも彼女らしいこと、してみたかったんだ。




「天沢ちゃんが、料理?」


海に腰まで浸かってる先輩が言いながら、陸へ歩き始めるから。

その背中についていく。



「はい」


「できんの?」


「……っ!?そりゃあお母さんに手伝ってもらいましたけど!」



先輩の言葉にムキになる。

すると先輩は後ろを振り返って、ポンッと。
私の頭に左手を乗せてきた。



「うそうそ、嬉しいよ、天沢ちゃんの手作り」


「……ほんと?」


「頑張って作ってくれたんでしょ?
 それだけで嬉しいよ。
 たとえ不味くても」


「……先輩ってばほんと一言余計。
 もういいよ、私1人で食べるから。
 先輩なんか海の家の焼きそばでも食べて、顔ソースまみれになっちゃえ」


「ハハッ、ソースまみれになっても、顔が良いのは隠せないから」


「……」