海の中から顔を出したって。
結局、ミア先輩に溺れている私は、息継ぎが上手くできないくらいドキドキしてる。



でもそのドキドキは、息がしづらくたって
ずっと味わってたいって思うよ。


だってそのドキドキの正体を、私は知っているから。



「天沢ちゃん、お腹すいてない?」


海に来ると、お腹の音なんか全然気にならないくらい、遊ぶことに夢中になってしまっていて。


ふと、先輩が立ち止まり、太陽を一瞬だけ見て言う。



「そう言われると、お腹すいてきました」


「じゃあ海の家もあることだし、そこで食べる?」


「あっ、あの先輩!」


「ん?」


「私、お弁当、今日持ってきたんで……。
 その、美味しいかどうかは分かんないんですけど……よかったら」