ーードボン、と。


ミア先輩に手を引っ張られ、海の中に沈んでいく。



水中でゆらゆら揺れる互いの髪は、サンゴを隠す海のカーテンみたいでとても綺麗。


ぜんぶが、スローモーションに見えた。



先輩がゆっくりと、私の頬に手を当てる。


そしてそのまま見つめあって。

太陽の光が差し込む海の中、その光がスポットライトみたいになって、私とミア先輩だけを輝かせている。


まるで、おとぎ話みたい。


触れそうで触れない唇は、あぶくになることを恐れてる。


息ができなくなって、すぐに海から顔を出すと。


続けて先輩もあがってきた。


ミア先輩は笑いながら「どう?じれったかった?」と、結局しなかったキスの感想を求めてくる。



「さっ、さっきまでミア先輩かっこよかったのに……!結局いつもの先輩じゃん、意地悪だ!!」


「ハハッ、たまには良いこと言っておかないと、天沢ちゃんを惑わせられないでしょ?」


「へっ?!じゃあさっき言ったことって、ぜんぶ嘘ってこと!?」


「……さあね?どっちだろう。俺はどっちに捉えてくれても構わないよ」


「~~!!ミア先輩のバカーッ!!
 私の感動を返せー!!」