恋は落ち着いてなんかいられない。


先輩と私は似合わない。


けど、似合わなくたって。

私は先輩が好きで
先輩も私のことが好き。


それだけで良いような気がしてくるのは、きっと。



「周りになに言われようが、天沢は俺のだから。
 そんなの関係ないよ」



さっきまで浅瀬にいたのに、今は首まで浸かっている海水のしょっぱさが、私の舌を(しび)れさせる。



そのしょっぱさに、ミア先輩の甘さが混じって、ワケわかんない味。


刺激的な味。



「天沢ちゃんが俺に近づけないのなら。
俺が天沢ちゃんに近づけばいいだけのことでしょ。」


「……」



「俺から先に好きになったんだ、俺の方がいつだって天沢に振り回されてるってこと。
 いい加減、知りな?」


「……っ」


「俺が余裕そうに見えてるなら、それ間違いだから。
 いつだって、天沢に触れたいの我慢してる、ただのオオカミだから。」


「……みあ、先輩」


「そんなことも分からないなんて、まだまだ俺のこと分かってないねー、天沢ちゃん。
 まあ、1人で不安になってる天沢ちゃんも可愛いから、許してあげる。」