「天沢ちゃん」


「……」


「おーい、天沢ちゃーん」


「は、はい!?」



考え事してたせいで、先輩の声に反応が遅れちゃった。


せっかくの海デートなのに、私ってば別のことに意識を集中させてバカみたい。



今日はどんなことがあっても、楽しまなきゃ損だよ!



にへぇ~、と。隣にいる先輩に変な顔で笑いかけてみる。



1人百面相(ひゃくめんそう)している私に、置いてけぼりのミア先輩は怒ったのか。



「天沢ちゃん、1人の世界に入らないでくれる?」と、私の上着のジッパーを勢いよく下におろした。



「~~~!?」


別に下着を見られている訳でもないのに。

いきなり晒された自分の水着に驚いて、その場にしゃがみこむと。


ミア先輩はケタケタ笑って、目を細めたまた私を見下ろす。