甘いね、先輩。
私だってもう、ミア先輩のことしか知りたくないよ。
手を繋ぎながら、ビルとビルの隙間から出てくる私たちを、気にも留めない通行人が目の前から去っていく。
それがなんだかおかしくて。
人ごみに紛れ込む前に、二人で笑い合った。
まるで二人の世界だね、って。
昨日携帯で検索しまくった、ここから近い安くて可愛さが売りの水着専門店に向かう。
歩いている途中、ミア先輩がいつもと違う雰囲気なのは、制服じゃないからと気がついた。
ミア先輩といると、ドキドキが優先されてしまって
そんな簡単なことにも気づけない。
「先輩って、オシャレですね……」
「そう?」
「自分が恥ずかしくなるくらいには……」
街に出掛けるから、見られるくらいには多少なりともオシャレはしたけど……。
ミア先輩と今日会う予定なんかなかったから。
正直もっと可愛い服着てこればよかったって後悔。
薄茶色のロングワンピース、ちょっと地味だったかな?
でも先輩は、白Tシャツに少しダメージが入っているデニムだ。
シンプルなのにオシャレに見えるのは、着ている人がかっこいいせいかな?


