「なんだ、そんなこと。
だったら早く言えばいいじゃん」
「だって……」
「どうせあれだろ?水着持てないとか、そういう理由でしょ?」
「なんで分かるんですか……」
「だから言ったじゃん。
天沢ちゃんの弱いところ、ぜんぶ知ってるって」
「……っ」
「そういう"弱さ"も、知ってるんだよ?」
ぜんぶ知られてる。
浮かれているのに、そう素直になれない私の弱さだって。
ミア先輩には、もうとっくに知られていたみたいで。
でも、そんなの隠していた私がバカみたいじゃん。
先輩の前では、本当の自分でいないと駄目みたい。
そうじゃなきゃ、ミア先輩が許してくれないから。
「それじゃあ、買いに行こっか」
言いながら、ギュッと手を握ってくる先輩。
「……やっぱり先輩も行くの?」
「なんで?駄目?」
「……だって彼氏と水着買いに行くなんて恥ずかしい」
「どうせ明日嫌でも見られるのに?」
「それとはまた別なの!」
「へぇー、女心ってよく分かんないねー。」
「私のことは、よく知ってるくせに。
そういうことは分からないんだね」
「"天沢"のことだけならね。」
「……」
「俺が知りたいのは、天沢ちゃんのことだけ。
これテストにでるからよーく覚えておいて」


