「俺が誘ったから……?
バカ言ってんじゃねーよ。
テメェは誘われたらどこにでもホイホイついていく軽い女か?なあ?」
「……っ」
「俺じゃなかったら……今頃天沢、襲われてたかもな。
よかったね、俺が理性がある奴で」
「……」
ウソつき。
学校では人前であんなにベタベタしてくるくせに。
なにが理性だ。
なのにこういう時だけ、しっかりとしてるんだもん。
目眩がするほど意味分かんないそのギャップに、やられてしまいそうだよ。
「つっても。
天沢ちゃんが『嫌い』って言わなかったら。
俺も天沢ちゃんのこと襲ってたかも?
色々と自制できなくて」
言いながら私から離れて、上半身だけ起こした先輩は。
また隣でごろりと寝転んだ。
まだ先輩の温もりが残っている体は、簡単に離れていくその呆気なさに、なんだか物足りないと嘆いている。
「ちゃんと抵抗できて偉いじゃーん」
「別に、嫌いなんて本当に言った訳じゃっ」
「やめな?」
「へっ?」
「その言葉の続き、もし言われたら。
こんどこそ止まらないかもよ、俺」
「……っ」
「男は煽るもんじゃねーぞ。
それが同い年だろうが年下だろうが。俺みたいな年上なんかはもっと危ないかも」
「……」
「まあ天沢ちゃんに触っていいのは俺だけだから。
そこらへんは、覚えておいて」
「私先輩のモノじゃないし」
「いつかは俺のモノになるけど……?」
「なっ、ならないし!!」
「覚悟しなよ、天沢ちゃん。強気なのも今のうちだけだよ」