そして、そこでついに私の堪忍袋の緒が切れた。
「てかそもそも学校とか行く必要無いんですよ。大学卒業してるんで。それなのに悠……あ、保護者です。が行けって、来週ぅ?! おかしいでしょ! そこに私の意思はありますか?! 私はねぇ! 部屋に引きこもってゲーム出来てりゃなんでもいいんですよ!! というか悠はいつもいつも行動が急で─────」
「え、えぇ……?」
「─────それに料理すると絶対に暗黒物質生み出すし! なんで卵かけご飯作るだけで焦げ臭い匂いを発する暗黒物質ができるんですかね!? 卵とご飯で黒くなる要素ありますか?! なんで熱したんだよ! 人が目を離した隙にもはやプロフェッショナル並に暗黒物質作り出してんじゃねぇよ!! もう暗黒物質職人にでもなっちまえ!!」
「無愛さん、大変なんですねぇ……」
「そうなんですよ……! 理人くん分かってくれますか?! 家事ほぼ全般完璧なのに料理だけはとんでもないんですよ! 」
「分かります……! 僕の身内にもいるんですよね。料理が異常に下手な人が……!!」
こうして私と理事長──理人くんは打ち解けた。
「もう無愛さんと僕は一番の友達です! ズッ友です! いつでも理事長室に来てくださって構いませんからね!!」
もう私と理人くんはマブダチである!!
なので!!
「では退学届けを貰えますか?」
友達作りミッション完遂! よって私は帰還を果たします!!
「え、嫌ですよ」
「なっ……?!」
なんでぇ?!
「無愛さん……僕を置いて行ってしまうのですか……?」
理人くんが上目遣いでこちらを窺ってくる。
そ、そんなんされたら断れないじゃんっ……!
「くっ……分かりましたよ……とりあえず1ヶ月だけ様子を見てみます……」
「っしゃ!」
「ただし! 私の豆腐メンタルが崩壊した途端、問答無用で不登校になってヒキニートに出戻りしますからね!!」
「生徒や教師への全力牽制ですね!! 任せてください!!」
贔屓? ばっちこい!
私は酷いことされないためならなんだってやるんだよ!
なぜなら! 豆腐メンタルだから!



