まだ気配しか分からぬ相手に対して、心を乱されているようでは、先が思いやられる。


「…貴様の息の根は、私が止めてやる」


無意識に握り締めた拳は、更にきゅうっと力が入っていた。


天を仰ぐ。
空には、まだ夕暮れには早いのに、淡い月が浮かんでいた。