今年もたくさん貰ったチョコレートは虚しさを倍増させるだけである。


確かに作るといったが渡すとは言っていない。


でも、ほんとうにまさかそうなるとは普通思わないだろう。


一つ一つ丁寧に、気合の入ったチョコレートをみる。


ため息が出た。




「昨日貰ったケーキ美味しかったよ。ありがとう」

「口にあって嬉しいよ」


友チョコならぬ友ケーキを貰ったユズリナの友達が話している。

羨ましい。本音を言うなら欲しかった。美味しくなくてもいいから欲しかった。


「どうやって作ったの?」


「しっとりさせるために砂糖やはちみつは使わずにおからを使ったんだ」


「へー、また食べたい」

「いいけど、私流石に沢山は食べれないから半分くらいは食べてもらうことになるけど……」


「全然いいよー」


「そうか、じゃあ今度一緒に作る?」

「いいねー」


「じゃあいつにする?」


リョウタはムカついてくる。ユズリナに期待したのがいけなかったとも、思えてきたのだ。



とっさにユズリナの腕を引っ張って連れ出した。