……そんな去年である。
今年は欲しかった。
去年の一日の彼女、ユズリナは何事もないかのように過ごしていたが、今年はなんとしても意識させて作らせたかった。
「今年のバレンタインデー、チョコレートを作るか?」
「いや、チョコレートは作らない予定。あまり好きではないから。その代わりに抹茶風味のバウンドケーキを作りたいと思う」
その言葉を聞いてからリョウタは安心した。
今年は去年の二の足を踏むことにはならなさそうだと。
と、思ったリョウタは馬鹿だったと思い知ったのだ。
そう、今年もバレンタインデーには何ももらえなかったのである。