「梓っ!」


教室に着いてあたしは急いで梓の席に向かった。
梓はあたしが大声を上げて突然来たので驚いている。


「さっきはゴメンね。
ちょっと考え事していただけだから、気にしないで」


「うん、わかった。
ただ夏帆がずっと何か考えているみたいだったからちょっと気になっただけだから大丈夫」


「ホント?」


「ホントだよ。

ほら、早くしなきゃ授業始まっちゃうよ?」


梓はふんわり優しく笑ってこんなあたしを許してくれた。


「梓ーーー!
大好きだからねー!!!」


あたしはギューッと梓に抱き着いた。


「夏帆! 苦しいっっ」


「梓ーーー!」


なんだか梓の彼氏がどうして梓を好きになったのか分かった気がする。

相手に気付かれないように心配してくれて、いっくら気になってもあたしが話すまで絶対に自分からあたしの中に入ってこない優しさ。




梓の彼氏が中途半端な男ならこのあたしが絶対許さない!