「秋元ー」


校舎に戻ろうとした平本先生が振り返った。


「何か悩んでいるなら真っ白な気持ちになってみろ。
そうしたら何か見つかるぞ」


    
意外と教師っぽい言葉を残して屋上から出ていった平本先生が『教師』に見えた。
裏の顔を知ってからは、どうも『教師』には見えなかったけど…
この時、初めて『教師』に見えた。



悩みか…


…………蒼衣先輩、元気なかな?


昨日の今日なのに…
なんだかもう蒼衣先輩に会えないと思うだけで、やっぱり涙が出る。


また補習になったらプリント?


プリントだったらまた図書館の手伝い…
できるかな?


あっ、けど進級あぶないか。



空に浮かぶ真っ白な雲。


「真っ白な気持ちか…」


あたしの頭の中はぐちゃぐちゃすぎる。


今週の福島先輩の誕生日についても考えなきゃいけない。


けどそれを邪魔するかのように出てくるんだ。



……………蒼衣先輩が…