片付けが終わって嬉しいはずなのに、
全然嬉しくない。


もっと、もっと…
図書館に居たかった。

片付けたかった。

蒼衣先輩と一緒にいたかった。



「夏帆?」


誰かに腕を突っつかれた。

顔を上げると梓が心配そうにあたしを見下ろして立っていた。



「何かあったの?」


「何も無いよ。大丈夫だから」


「…………昨日泣いたの?」


目の下に小さな梓の手が触れた。


「目立たない程度だからいいかな」って思っていたけど甘かった。


周りの友達は騙せても、
梓だけは騙せなかった。


昨日は泣いたせいで目が少し赤くなってしまった。



「1時間目、サボろうか」


「はっ!?」



また突然なぜ?

授業をサボった事の無い梓がサボろうだなんて言うのは珍しい。



「平本先生のとこ行こ」


腕をグイグイ引っ張ってあたしを連れ出していった。