【 優愛 side 】





両目をパチパチと開け締めする。


何度、目を擦ってみても、


目の前の景色は変わることがない。



つまり、



これは現実。




私の目の前に映る景色は




現実…??


それとも、夢でも見てるのかな?




辺りは真っ白。




下に床があるわけでもなく、



周りに壁があるわけでもない。



どこまでも続く道をゆっくりと歩いていく。



ここがどこだかも分からない。





「…私、何してたんだっけ…?」



ふと、そう呟くと、


ザーッと強い風が吹き、


目の前には…




信じがたい物が現れた。


やたら大きな椅子に腰掛ける小さな細身の体。


頭には何か、冠?のようなものを被っている。





「よく来たな。小娘」



「…はい!?」



"よく来たな、小娘"

って、私自分の足で来た覚えないんですが?


ていうか…


「あ、あ、あ、足!足がないっ!?」




よく見てみると、自分の足が見えない。





な、なんで!?




「足がないのはお前が死人だからだ」



「しっ、、!?」



死人…?



「あっ、」



思い出した。


私、琥珀くんに洗いざらいぶちまけた後に、

電車のホームでひかれそうになっていた女の子がいて、

気がついたら勝手に体が動いていて…


それで.、…?



「私、死んだの?」


「あぁ」


「ていうか、死んだんなら私、ここにいないでしょ」


「ここは別世界。
死んだ者の魂が行き来する場所だ。
つまり、今はお前の魂だけがここに居座っている」


だから、足が見えないってわけ??


い、いやいやいやいや。



こんなこと、信じられるわけ…



「信じたくないなら信じなくて良い。
ただ…。
お前、何かやり残したことないか?」


「そんなのあるに決まってるでしょ。」


いっぱいある。

だって、まだ私ピチピチの10代だよ?

まだまだこれからたっくさんの幸せや

楽しいことだっていっぱいあったはず。

それに…夢、まだ叶ってないよ。

せめて、…



その夢を叶えられてから、死にたかったなぁ。